ベン・アフレックのことが気になりだしたのは、つい最近であります。以前は顔の長いマッチョ野郎としか思っておりませんで、とても嫌いでした。出演者の中に彼の名前を見つけたら、その作品を避けてしまうくらいでありました。
彼の印象が変わったきっかけは、『グッドウィルハンティング』でございます。ガスヴァンサント監督作、主演はマット・ディモン、名優ロビン・ウィリアムス出演、そして音楽はエリオット・スミス。失敗しようのないメンツを揃えた最高の青春映画です。もちろんベン・アフレックも出ているのですが、彼は主人公の友だち役であまり目立っておりません。
この映画の素晴らしさは、主役のマット・ディモンとロビン・ウィリアムスら俳優陣の演技以上に、完璧に仕上げられた脚本にあると思います。よく練られていると素人の私でも感心しました。一人ひとりのキャラクターの性質や葛藤といった背景が、それが脇役であっても、ちゃんと描かれています。彼がどのような経験をして、どのような選択をするに到ったのかがちゃんと見えるのです。さきほど、失敗しようのないメンツを揃えたと言いましたが、脚本がもうまさに失敗しようのない傑作なのだと思います。
この脚本は誰によって書かれたか?これがまた映画のような話なのですが、当時ハーバードの学生であったマットが、授業で書いたシナリオを親友のベン・アフレックに見せて、それから共同で書きあげられたものなのです。無名の若者たちの夢が詰まっているのです。ぼくはこの事実を知ってとても感動し、それからベン・アフレックに対する悪い印象が、がらりと良いものに変わったのです。(つづく)