物語とは自分の過去を正当化することができるものだ。それは実際の事実とは関係ない、自分だけの事実だ。自分の人生を物語化することで、未来も変わる。リチャード・パワーズの言葉を借りれば、「過去とは、未来を変えるメモ書き」なのだ。人の目線なんて気にせずに自分の人生を好きなように物語ろう。そして、その物語が他者と共有されたとき、それはもう立派な文学であると思う。
僕は平凡な大学生活を送ったわけではなかった。それは非常に楽しく刺激的な日々と、地味で恥辱にまみれた暗闇の日々をヨーヨーのように行き来するようなものだ。いや、どっちかというと、とても辛いことばかりだったかもしれない。
僕の大学生活の全体を見渡してみて、自慢できることといえば2つある。まずひとつは本を誰よりも読んだこと、映画を誰よりも見たこと、音楽を誰よりも聴いたことである。これは誰にも負けない自信があるけれども、大して重要なことではない。僕はドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の兄弟の名前を全部言える、ただそれだけのことだ。
僕にとっては、軽音楽サークルのケーパースに所属していたことのほうがはるかに重要である。それは、60年代のファクトリー、70年代末のロンドンのブティックSEXと同じくらい僕には意味のあるものだった。
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