"MARCHING"という単語と共にディレイのかかったギターカッティングで始まる冒頭の"White Rune"。なんとなくタイラー・ザ・クリエイターの"Yonkers"の奇怪なサンプリングに似たものを感じる。タイラーは歌の中で憎悪を剥き出しにし、PVの中でゴキブリを食って首を吊って死ぬ。
こんなにもAppetite For Destruction(破壊欲)に突き動かされたロックが最近あっただろうか。欧米で流行るチルウェイヴやローファイ勢とは対蹠的なバンドである。デンマーク出身というところも関係しているのだろうが、歴史の流れとは全く相容れない異形さに満ちている。
レコーディングは1トラックを使っての1発録り。それが荒々しい破壊衝動を納めることに成功している。JOY DIVISIONと比較されることが多いようだが、SEX PISTOLSの『勝手にしやがれ』の生き急ぐスティーヴ・ジョーンズのギターサウンドとギャングオブフォーやワイアーといったポストパンク勢、そしてノーウェイヴの不安定なテンションを通過した印象を受ける。
最後を飾る"YOURE BLESSED"で見せる手数の多いドラムと無機質なギター、そしてその上を飄々と渡り歩くする頼もしいベース、そして"If you could keep me together"と訛りの強い英語で歌うボーカルの怒りを剥き出した雄叫びが、モノラルサウンドの圧力で放出され合わさった瞬間の爆発力は全く近年のロックになかったものだ。明らかにこれは生易しい生の充足に向かっていず、転がっても血を流してでも、死んででも、何かを壊す、そして掴みとるような、まさにTOO YOUNG TO DIEの思想が感じられるのである。
歌詞は宗教や魔術のようなものがモチーフとなっている。破壊衝動の先にあるのは、強い仲間内の結束を求める気持ちが込められている。彼らの破壊は、兄弟間の血の契りのような強い結びつきの欲へと繋がっている。"New Brigade will never fade. ~its within me and you."新しい旅団は決して消えはしない。それは僕と君の中にある。と歌われるように。「愛と革命に生きる」といった太宰治ではないけれども、何かをぶち壊してやりたいという感情がここまで音楽に率直に反映されたロックに僕はとても共感する。
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