2012年5月28日月曜日

X-MEN: ファースト・ジェネレーションのレビュー

この作品は『キックアス』のマシューヴォーンが監督しているx−メン前日譚である。『キックアス』は非常に評価され、またX-MENシリーズはどれも面白かったため、相当なプレッシャーと期待がかけられていたのではないだろうか。
ウルヴァリンやサイクロップスという有名なキャラクターが出てこない(ヒュージャックマンは少しだけ出てくるのだが。)、前3作で良い終わり方をした、またずいぶん前に見たガーディアンのレビューであまり良い評価がされていなかったので、僕はそこまで見たいという気持ちがなかったし、ちょっと心配な部分もあった。
映画の内容に関しては、『ダークナイト』から大きな影響を受けているなと感じた。まず、ストーリーの展開がものすごく速い。『ダークナイト』は圧倒的な情報量とめまぐるしい場面展開があるが、見ていて同じような感覚を覚えた。xメンでは、実際にあったキューバ危機という歴史的な事件を水平線として、その上にミュータントと人類の争いが垂直に置かれている。『ダークナイト』同様に世界を巻き込みながらも、キャラクターたちの個人的な物語が主題であるのだ。
情報を詰め込んで見せることは、圧倒的な世界観を観客に与えるために非常に有効な手段であるが、少しでもそこに齟齬があれば、観客の頭にはクエスチョンマークができて、それがスピード感で多少ごまかされているとはいえ、やはり違和感を与えてしまうし、また作品を貫く一本線も霧がかかったように不明瞭になってしまうのだ。
ミスティークとビーストの恋愛関係に発展する際の感情の動きは全くこちらには理解できないウルヴァリンがカメオ出演するのは良いが、あの一言で終わってしまうのも謎だ。ミュータントの能力に関しても、なんであの女はクリスタルみたいになるしテレパス能力も持っているのか、訓練生たちを発見したは良いが、ひとりひとりの能力を紹介するやり方が、まるで大学生の新入生歓迎会での自己紹介風なのが、取って付けたみたいで不自然だと思ってしまった。シーンとシーンの繋ぎ方にも???となってしまうところがあった。
俳優たちのキャスティングは個人的にすごく好きだ。ケヴィン・ベーコンは、いくつになっても相変わらず安定した悪役ぶりを見せてくれるし、ジェームズ・マカヴォイとマイケル・ファスベンダーもとても知的な雰囲気で役に合っていたと思う。そしてミスティークを演じたジェニファー・ローレンスの可愛らしさと瑞々しい肉体。もっと彼女をセクシーに映してもよかったのではないか。続編ではもう見られないんだろうから、ちょっと残念である。
 ミュータントを攻撃する人間の姿、それに対するプロフェッサーXとマグニートの思想の違い、それは単なるアメコミの世界を超えて、ダーウィン以降の人類の歩みについての大きな景色を見せていたと思う。三部作になる予定らしいので、次は妙なキャラクター紹介などは省かれているだろうし、もっと面白くなる要素はあるだろう。それにしても最近は前日譚ものがとても多い。今夏には『エイリアン』の前日譚『プロメテウス』も公開されるという。どんな形であれ、好きな作品の続編が見られるのは素直に嬉しいことだ。

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