2011年10月10日月曜日

PINK FLOYDは古びない


最新リマスターが発売されたPINK FOLYD。NBCの番組ではPINK FOLYD WEEKがスタートし、MGMTがLUCIFER SAMのカバーを披露した。この曲は彼らの1枚目のアルバムに収録されている。まだシドバレットがいたころである。PINK FLOYDはプログレッシブロックの枠内で語られることが多いが、KING CRIMSONやYES、ELPなどとは区別されるべきグループである。
KING CRIMSON やYESはとてもテクニカルであり、クラシックやジャズの要素が強い。隙のない構成とテクニックに裏打ちされた即興演奏、特に後期のクリムゾンなどは他者を寄せ付けない迫力がある。ロバートフリップはブライアンイーノとグループを組んでいたし、フリーミュージックのアーティストとも競演していることから、彼が常に音楽面で新しい表現を求めていたことがわかる。
PINK FLOYDの1枚目を聴けばわかるが、これはプログレとは全く無関係だ。全うなサイケデリックロックアルバムである。彼らは後に『狂気』、『ザウォール』などコンセプチュアルな大作を生み出すのだが、そこにあるのは曲の緻密な構成や技巧ではなく、西海岸の豪快なロックンロールである。ロジャーウォーターズの頭の中にあるある意味強情な観念だけが、どんどん肥大していき、KING CRIMSONが技巧に追いつめられていったように、彼らもまた袋小路に迷い込むしかなかった。山崎洋一郎氏が書いていたが、PINK FLOYDの音楽はあまりに文学的になりすぎて、もはや音楽で表現する必然性を失ったのだ。
したがって、彼らの思想的な部分は確かにプログレッシブであるが、単純にサウンドだけを聴けばとても普遍的である。僕はプログレを聴くと古臭さを感じることが多い。だがPINK FLOYDは別で、いつの時代も古びない普遍性があるのだ。現在のロックシーンの先端に位置するMGMTが彼らの曲をカヴァーするというのも、とてもしっくりくるしすごくクールだ。
 誰からもカヴァーされる曲があるけれども、カヴァーされるということはそれだけ親しみがあり、現代にも通用するタイムレスな価値観があるということに他ならない。YESやKING CRIMSONは気軽にカヴァーできないけれども、PINK FOLYDならできる。これはPINK FLOYDというバンドを表すとても良い言葉かもしれない。
ちなみに上の動画でオープンリールの楽器を操る怪しい男は、DEERHUNTERのブラッドフォードくんである。

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